療育内容

「ぱっそ」の療育について

一人一人のお子さんを手厚くサポートできる体制

ぱっそでは、1日に10名のお子さんをお預かりしており、2~3名のお子さんに対してスタッフ一人がつくという体制をとっています。そのため、10名以上のお子さんを1~2名で見る子ども園幼稚園保育園に比べ、手厚い支援が可能です。

ただし、お子さん同士の関わりについては、過剰な支援は行わず、タイミングを見ながら必要最低限の支援を行います。例えば、お友達に玩具を取られてしまったようなケースでは、まずは自らどうするかを見守り、すぐに手を貸すようなことはしません。そこで友達を叩いてしまうようであれば、その場ですかさず仲介し、やりとりを練習します。こどもが自らの考えで行動することをしっかりと保障しつつ、お互いに叩く叩かれることが少なく済むよう、程よいタイミングでスタッフが仲介するというのが「ぱっそ」のやり方です。

対子どもの人数が保障されていないと、なかなか適切なタイミングでスタッフが仲介することは難しいでしょう。一般的な子ども園幼稚園保育園の場合、1~2名で10名以上のお子さんを見るため、一日の中で少しはできても、やはり限界があります。

糊やはさみを使った工作活動においても、当園では、目の前で使い方を見せながら一緒に工作をすることができます。スタッフの数が少ないと、順番がくるまで待たせてしまうことになり、飽きてしまうお子さんもいるでしょう。

集団行動の中で生活力を身につける

リハビリテーションセンターや短時間・マンツーマン制の療育施設と異なり、10名程度のお子さんが集まっている集団生活の場です。先生や友達と一緒に遊ぶことによって、玩具の貸し借り、相手の気持ちを考えるといった生活に必要な力をじっくりと身につけていくことができます。順番待ちや我慢すること、励まし合ったり褒め合ったりといった経験ができるのも「ぱっそ」ならではです。

こうした集団生活の中で、食事・排泄・着脱といった身辺面の練習や、一連の動作の獲得していきます。食事の例でいえば、

  1. 手洗い
  2. 自分の席で静かに支度をして待つ
  3. 友達の「いただきます」の挨拶で一緒に挨拶
  4. 食事をする
  5. 友達が終わるまで席で座って待つ
  6. 「ごちそうさま」の挨拶をする

といった流れが一連の動作です。こうした動作をしかっかりと身につけ、自立した生活を目指します。

また、小学校入学を控えたお子さんを対象に、学校生活の雰囲気を体験できる模擬小学校を定期的に開催しています。学校の教室を再現した空間で、元小学校教諭が「分かる」「できる」「楽しい」授業をお届けします。模擬小学校の詳細についてはこちらのページをご覧ください。

得意な遊びを見つけ集中する力を身につける

粘土を触って形を作る・クレヨンで絵を描くといった工作活動で手先操作を身につけたり、平均台やブランコでバランス感を養ったり、手先から足先まで体全体を動かす練習をします。これによって、自分の得意な遊びを見つけることができ、集中する力を身につけることができるのです。短時間預かりの施設では、ここまでの療育はできません。

保護者様と連絡を密にし、幅広い面でサポート

おたよりファイル(連絡ノート)で保護者の方と密に連絡を取り合っているというのも、当園の重要なポイントです。ご家庭・子ども園幼稚園保育園での様子やお子さんに関するお悩みなどを書いていただき、育児や関わり方についてのアドバイス・個別相談を行っています。

子ども園幼稚園保育園への就園、小学校への就学についても、実際の生活を共にしている立場のスタッフが発達テストなどの情報や生活スキルを勘案しながら相談に対応することが可能です。

これ以外にも、

  • 転居予定の方に対して、他機関と連携して転居先の支援機関の探索
  • 就学・就園について園長からの研修、先輩パパママのお話しを聞く場を設ける
  • ぱっそ通園中のお父さんお母さんを対象としたパパママ座談会の実施

など、幅広いサポートを行っています。

療育のポイント

わかりやすい伝え方で「わかった」「できる」を促す

まだ言葉が出ないお子さんの中には、物に名前があることに気づいていないお子さんもいます。そういったお子さんには、実物を見せて活動を促します。

  • トイレに行くよ→オムツやパンツ自体を見せる
  • 給食の時間だよ→給食袋や給食を見せる
  • 椅子に座るよ→椅子を見せる
  • 帰るよ→通園バックをみせる

以上のような伝え方をすることですんなりと行動に移すことができます。

オーバーアクションで感情をわかりやすく伝える

相手の気持ちを意識しづらいお子さんには、スタッフが表情と体の動きで、喜怒哀楽をわかりやすく伝えます。ですので、褒めるときは極端なくらいに褒めます。怒る時は、しっかりと目を見て声のトーンを落とし、じっくりといけなかったことを伝え、これからはどうしたらよいかを教えます。

アバウトな部分については納得するまで一緒に考える

生活する上で、アバウトなコミュニケーションは意外と多いものです。たとえば挨拶であれば、何時から何時までが「おはようございます」なのか? 何時からが「こんにちは」「こんばんは」「おやすみなさい」なのか? などです。このようなことについては、ご家庭やぱっその生活を考え、まずは、何時から何時までを「こんにちは、」等と明確に時間を示して教えます。同時に、人によってその時間はまちまちであり、決まっていないことも伝えます。どうすればよいかを話しながら、納得するまで一緒に考えます。

小さな成功体験を積むことで自らできる子に

自分でできる子にするためには、最大限ほめることが大切です。褒められることが習慣化されている子は頑張れますが、褒められていることが習慣化されていない子は「どうすれば褒められるのか」「何をすればよいのか」わからずに過ごしていることが少なくありません。

ほんの少し頑張ればできる内容の課題を提示し、成功したときにはしっかりと褒めてあげます。これによって、お子さんの自信に繋がり、自ら進んで行動できるようになっていくのです。ただし、闇雲に褒めるだけではありません。ときには叱らなくてはいけないこともあるでしょう。正しく褒め、正しく叱ることが大事です。

発達年齢・特性・感覚に即した関わり方

「もうお兄ちゃんだから」とか「年長さんだから」とかという理由で、周りのお友達と同じことができていて当たり前と思ってはいけません。子どもそれぞれの成長があります。「ゆったりした子」「皆より早く気付ける子」など、さまざまです。

年長さんでも年少さん段階の理解の子もいます。できて当たり前とは考えずに、その子その子が歩んでいる発達の段階を見ることが大切です。発達年齢にあった伝え方をすることが、理解を促し次なる段階へのステップになります。

子どもによって、性格や脳機能による特性があり、五感や揺れなどの感覚は人それぞれです。子どもが起こした行動にを対して、「どういう思いがあったのか」「どういう特性や感覚を持っているのか」など、原因を探してあげることでその行動の意味はわかります。

人の行動には必ず意味がありますが、「その行動の意味=どうしてそういった行動をしたのか」をうまく伝えられないのが、支援を要する子どもたちです。それを見つけ、代弁し、共感してあげることが支援といっても過言ではありません。

落ち着いて着席できる力を重視

ごはんを食べる、工作をする、先生のお話をじっくり聞くなど、活動において落ち着いて着席をすることは何より大切です。地味かもしれませんが、「ぱっそ」では着席できる力を最重要視しています。「ぱっそは着席をさせてくれる場所」というお話が保護者様の中で話されていたことを聞いた時には大変ありがたく思いました。重要視している面の評価をされていると自負しています。

言葉の前にイエス・ノーを示すことができるように

言葉が出ないお子さんを抱え、発声を促したいとの思いで「ぱっそ」に通園をしてくれるご家庭は少なくありません。その思いは我々スタッフも同様で、お子さんがより広いコミュニケーション手段を獲得できるよう日々療育をしていきます。ただし、ただ言葉を音で教えるだけでは不十分なこともあります。

我々が目指すことはコミュニケーション手段の幅を広げることです。相手に伝えたいという切なる思いがあるから、相手と関わり、アピールすることができます。相手の気持ちを受け取りたいからこそ、相手に目を向けます。発声という音のみに着目するのでなく、相手に伝えたい、聞き取りたいという気持ちも一緒に育てていきませんか?

絵本の絵柄を指して音としての言葉を教えることも良いですが、日常生活の自然な雰囲気の中で、たくさん何気ない言葉のシャワーを優しくかけてあげてはいかがでしょう。その際には、目を見て、また、スキンシップも行い、耳から聞こえる音、目から入る大人の優しい表情、肌から感じる温かさ、一緒に物を食べるおいしさ、信頼する大人のにおい、五感いっぱいに感じとるコミュニケーションを繰り返し行っていく中で、お子さんの気持ちは満足し、言葉だけでなく、表情や雰囲気でめいっぱい表現をしてくれると思います。大人もそれを感じ取ろうとする姿勢が必要です。

その中で、言葉の発声の前に促したいこと=イエス・ノーの表現です。発声がなくとも、大人の手を引いたり、大声で泣いたり、時に泣き方が違ったり、ほんの少し我慢をしたり、ほんの少しの仕草の違いを見つけ出し、褒めていくことで、「こうすればわかってもらえるんだ」と思ってもらうことが、より多くのコミュニケーション手段の獲得につながります。やりたいのか・やりたくないのか、ほしいのか・ほしくないのか、続けたいのか・続けたくないのか、正しく子どもの思いを感じ取れていますか?

明確に言葉の発声ができているお子さんでも、発する言葉の音のみが気持ちのすべてと思ってはいけません。我々は、言葉の発声という音で示される表現の他、表情・視線・仕草・体の動き等を見て、こどもの気持ち=イエス・ノーを見極め、気持ちによりそうことから療育を始めます。

正しい姿勢や体の動かし方を獲得

ブランコやすべり台・ジャングルジムといった公園の遊具を怖がる子、また、まったく怖がらないため逆に危ない子、いつか落ちそうで怖い子、抱っこを嫌がる子、常に動いている子、逆にあまり動かずにじっとしている子、転びやすい子、うまく椅子に座っていることが難しい子、歩き方がなんとなく友達と違う子、手先があまり器用でない子、大きくなってもごろごろ転がることやスキップがうまくできない、縄跳びや複雑な運動をしづらい、などといった子の中には、外界からの刺激をうまく統合できずに、自らの体の動きを調整しづらい子が含まれていると思われます。

そういった子の体の動かし方をよく見させてもらうと、赤ちゃんの時に獲得しているはずである運動が未成熟なことがあります。赤ちゃんの時の基礎的な運動が獲得しづらいと、当然、幼児や学童になった時の基礎の上に成り立つ運動がもしづらいでしょう。体の動かし方については、医療スタッフと連携しながら正しくアセスメントし、動きの練習をしていくことで、正しい姿勢や体の動かし方を獲得していきます。その結果、物事への集中力が上がったり、我慢を身につけることにもつながるのです。「ぱっそ」では、そういった体の動かし方にも注目しながらこども達と関わります。

体調不安のある子も安定した生活を送れるように

熱が出やすい、疲れやすい、また、服薬によって情緒の安定・不安定のあるお子さんも少なくありません。主治医からの指示を教えていただきながら、日々の様子を保護者様に伝えるとともに、より安定した生活を送れるように一緒に歩んでまいります。

進路について

当園に通われていた児童の進路について、実例を紹介します。

事例1 平成28年度(2歳児)
「ぱっそ」平日通園
平成29年度(3歳児)
「公立こども園 加配付」+「ぱっそ」土曜通園
事例2 平成28年度(2歳児)
「ぱっそ」平日通園
平成29年度(3歳児)
「私立幼稚園 サポートあり」+「ぱっそ」平日通園
事例3 平成28年度(3歳児)
「ぱっそ」平日通園+「私立幼稚園」
平成29年度(4歳児)
「ぱっそ」平日通園+「私立幼稚園」
事例4 平成28年度(3歳児)
「ぱっそ」平日通園+「公立こども園」
平成29年度(4歳児)
「公立こども園 加配付」+「ぱっそ 並行通園部」
事例5 平成28年度(3歳児)
「ぱっそ」平日通園
平成29年度(4歳児)
「公立こども園 加配付」+「ぱっそ 並行通園部」
事例6 平成28年度(4歳児)
「公立こども園 加配付」+「ぱっそ」土曜通園
平成29年度(5歳児)
「公立こども園 加配付」+「ぱっそ 並行通園部」
事例7 平成28年度(4歳児)
「公立こども園 加配付」+「ぱっそ」土曜通園
平成29年度(5歳児)
「公立こども園 加配付」+「ぱっそ」土曜通園
事例8 平成28年度(5歳児)
「児童発達支援センター」+「ぱっそ」土曜通園
平成29年度(1年生)
「特別支援学校」
事例9 平成28年度(5歳児)
「公立こども園 加配付」+「ぱっそ」土曜通園
平成29年度(1年生)
「支援学級」
事例10 平成28年度(5歳児)
「公立こども園 加配付」+「ぱっそ」土曜通園
平成29年度(1年生)
「普通学級」