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ADHDの子どもに見られる特徴は? よくある行動や適切な関わり方も!

2017/12/25

ADHDの子どもに見られる特徴

ADHDは発達障害の一つで、「Attention-Deficit/Hyperactivity Disorder」の略称です。日本語では「注意欠如・多動性障害」と訳されます。「不注意」「多動性」「衝動性」という3つの特性があり、現れ方や程度は人それぞれです。

「子どもがADHDではないか?」と心配している親御さんの中には、一人で悩んでいる方も多いと思います。そこでこの記事では、ADHDの子どもの特徴やよくある行動などを詳しく見ていきましょう。

  1. ADHDの基礎知識
  2. ADHDの子どもに現れる特徴
  3. ADHDの子どもによくある行動
  4. ADHDの子どもとの関わり方
  5. まとめ

1.ADHDの基礎知識

まずは、ADHDの基礎的なことについて見ていきます。

1-1.概要と分類

「不注意」「多動性」「衝動性」の3つが特徴的で、具体的な特性の現れ方には個人差があります。コミュニケーションがうまく取れず、周囲に誤解されてしまうことも少なくありません。

ADHDの原因は、生まれつきによる中枢神経の機能障害だと考えられています。誤解されがちですが、親のしつけ方や育て方によって起こるものではありません。

1-2.他の発達障害との違い

ADHDは他の発達障害と似た特性が多く、判断には注意が必要となります。判断する上で押さえておくべきことは「自分の行動や感情を抑えることが苦手」という点です。日常生活での様子をしっかりと見守ってください。ただし、診断は医師でなければできないので、素人判断で決めつけるのは禁物です。

2.ADHDの子どもに現れる特徴

ADHDの子どもに見られる特徴について見ていきましょう。

2-1.主な特徴

ADHDの子どもに現れる主な特徴は「不注意」「多動性」「衝動性」の3つです。

2-1-1.不注意

ひとつのことに集中することが難しいため、「忘れものや失くしものが多い」「気が散りやすい」という特徴があります。その一方で、興味があることには集中しすぎてしまうことが多いのも特徴です。他にやらなければならないことがあっても切り替えができず、場合によっては集団生活に馴染めないこともあります。

2-1-2.多動性

言動や行動をうまくコントロールできず、自分で抑えることが困難です。無意識に言葉を発したり体を動かしたりしてしまいます。一方的な過度のおしゃべり、落ち着いて座っていることが難しいなどの特徴があります。

2-1-3.衝動性

感情を抑えることが難しく、順番を待てなかったり人がしていることを遮(さえぎ)ったりしてしまいます。その行動をしてもよいかを考える前に体や口が動いてしまい、場合によっては乱暴と捉えられてしまうような行動をとることもあるでしょう。

2-2.いつ頃から現れるのか?

ADHDの特性は子どもなら誰もが持っている部分もあり、乳児期に判断することは難しいでしょう。しかし、乳児期から「寝つきが悪い」「視線が合わない」などの特性が見られる場合もあります。ただし、成長によって特性が落ち着くこともあるため、少なくとも5歳までは診断を急がず、特性に合わせた関わりを持つことが大切です。

3.ADHDの子どもによくある行動

行動の特徴を場面別に見ていきましょう。

3-1.よくある行動

  • 常に体のどこかが動いている
  • 外出先でどこかへ行ってしまい、迷子になることがある
  • 高いところに登ろうとする
  • 確認せず道路に飛び出してしまう
  • 自分の順番がくるまで待っていられない

3-2.生活面

  • 片づけが難しい
  • 失くしものが多い
  • 食事に集中できず、時間がかかる
  • 食事をこぼすことが多い
  • 物事に集中すると目の前で呼んでも反応できない

3-3.コミュニケーション

  • 自分の話をするために人の話を遮(さえぎ)ってしまう
  • 人の話を最後まで聞くことが難しい
  • 静かにしなければならない場所でも一人でしゃべってしまう
  • 話の内容が飛んでしまうことがある
  • 暴言や言い訳と捉えられる言動がある
  • 相手にいきなり抱き着いてしまうことがある

3-4.遊び

  • 次々に遊びが変わる
  • 刺激の強い遊びを好む
  • 部屋におもちゃが散乱してしまう
  • 興味のある遊びをやめられない
  • 新しいものをすぐ欲しがる

3-5.感情

  • 少しのことでも人を叩いてしまうことがある
  • 自分の気持ちを我慢することができない
  • 興奮しやすく、大声を出してしまう

3-6.年齢別

年齢別の特徴を見ていきましょう。

3-6-1.1歳~小学校就学

この年齢の子どもは他の子どもに乱暴をしてしまうことや、ものを壊してしまうこともあります。また、癇癪(かんしゃく)を起こすことがあり、周囲の人を驚かせてしまうこともあるでしょう。何度注意しても同じことを繰り返すため、「育て方が悪いのでは?」と不安になる親御さんも多いようです。

3-6-2.小学生

学校に通うようになると、特性が著しく見られるようになります。授業中に歩き回ってしまう、忘れものや失くしものが多いなどが目立つようになるでしょう。また、自分の感情をコントロールできずに大声で怒鳴ってしまうこともあります。

3-6-3.中学生~高校生

この時期には、ルールに従うことが難しく、親や先生に反発してしまうこともあります。状況によっては、友達とうまく付き合えずトラブルになることもあるでしょう。

3-6-4.成人

成人になると、多動性は落ち着く傾向にあります。その反面、目立ってくるのが不注意の面です。親や先生によるフォローがなくなり自分自身の責任が大きくなるため、子どもの頃よりも困難が多くなったと感じる人もいます。仕事でもケアレスミスが多くなったり時間に遅れたりすることがあるでしょう。

4.ADHDの子どもとの関わり方

ADHDの子どもと関わる上で重要なことや注意点などをまとめました。

4-1.特性理解の重要性

ADHDの特性を理解することが何よりも重要になります。ADHDの子どもは、決して怠けているわけでも人を傷つけようとしているわけでもありません。自分自身も感情をコントロールできずに悩んでいるということを忘れないでください。周囲からの理解を得られずに孤立してしまうことを避けるためにも、具体的な対処法を考えていきましょう。

4-2.環境調整

「集中しやすい環境を用意する」「目に見えない暗黙のルールを目でわかるようにする」などADHDの子どもが生活しやすい環境を整えることで、困難を少しでも減らすことができるでしょう。ADHDの特性を生かして社会で活躍している人もたくさんいます。そのためにも、子どもの特性に合った関わり方、生活の場を用意することが大切です。

4-3.伝え方・ほめ方、コミュニケーションの取り方

ADHDの子どもに対する伝え方やほめ方、コミュニケーションの取り方について見ていきましょう。

4-3-1.伝え方

物事を伝えるとき、抽象的な言い方ではADHDの子どもに伝わりません。「ちゃんとして」「ダメ」という言葉ではなく、「何をどうしてほしいのか」「なぜやってはいけないのか」を具体的に伝えるようにしましょう。指示を理解できない場合は、イラストなどを使って伝える方法も効果的です。また、本人のやる気を引き出すために、あえて守りやすいルールを作って自信をつけてあげることも効果的でしょう。

4-3-2.ほめ方

ルールを守れたとき、良いことをしたときは、思いきりほめてあげてください。しっかりと目を合わせて「何ができたからえらい」というように、具体的に説明しながらほめるようにしましょう。達成感により自分を肯定する力が身につくはずです。

4-3-3.コミュニケーションの取り方

ADHDの子どもに対して、感情的に叱ったり他の子どもと比べるようなことを言ったりするのはNGです。できるだけ穏やかな口調で、一つ一つ具体的に注意するようにしてください。また、頑張れることを増やすために、何かができたらごほうびを与えるというルールを作ることもおすすめです。

4-4.親の関わり方

親の関わり方はADHDの子どもにとって非常に重要になります。一番の理解者となり、できるだけ困難を感じることの少ない生活にしてあげましょう。ADHDの特性は子どもによってさまざまです。わが子の特性をしっかりと理解し、苦手なものを減らして得意なものを増やしていけるような環境を作り出してあげてください。

4-5.園や学校での関わり方

こども園・幼稚園・保育園・小学校等での関わり方は、その後の社会生活に大きく影響します。授業や活動に取り組みやすい環境を作り出すために、特性に合った工夫が必要になるでしょう。たとえば、気が散りやすい子どもには余計な刺激をできるだけ少なくし、集中することが難しい子どもには興味を引き出す工夫をするなど、関わり方を考えてみてください。また、座席は先生の近くにするなど、働きかけやすい環境にしておくことも必要でしょう。

4-6.周囲の関わり方

ADHDの子どもに見られる特徴は、周囲から誤解を受けやすいものが多くなっています。「乱暴な子」「しつけのできていない子」というように受け取られることは、親にとっても非常につらいことです。ADHDの子どもに関わる周囲の人たちは、子どもだけでなくその親が感じるストレスについても理解してあげることが大切になります。

4-7.療育支援について

ADHDの子どもが「生きにくさ」を軽減し、才能を伸ばしていくためには、そのための支援が必要です。社会的な自立ができるようなスキルを習得することを目的に、療育支援を受けることも検討しましょう。ソーシャルスキルトレーニングや環境調整で適応力を磨くことができます。

5.まとめ

いかがでしたか? ADHDの子どもに見られる特徴やよくある行動、周囲の関わり方などを詳しくまとめました。ADHDは脳の働きが大きく関わっており、簡単に治療できるものではありません。しかし、さまざまなスキルを身につけることで、その子どもが持つ優れた能力を発揮できるようになる可能性もあるのです。ぜひ、この記事を参考にして、ADHDの子どもとの向き合い方や見守り方、サポートの仕方を考えてみましょう。