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発達障害者支援法とは? 改正後の変更点から現状の問題点まで紹介!

2018/02/22

発達障害者支援法

2016年に発達障害者支援法が改正されました。この法律は発達障害者を総合的に支援することを目的として定められたものです。発達障害者支援法が制定されたことで、発達障害という言葉が一般的に認知されたことは間違いありません。今回10年ぶりに改正されたことで、どのように変わったのか気になる人も多いのではないでしょうか。この記事では、発達障害者支援法の内容や、改正によって変わったこと、現在の問題点などを詳しく見ていきたいと思います。

  1. 発達障害者支援法の改正
  2. 発達障害者支援法の内容について
  3. 改正によって変わったこと
  4. 発達障害支援法の利点は?
  5. 発達障害支援法の現状と問題点

この記事を読むことで、発達障害者支援法について詳しく分かるはずです。身内に発達障害を持つお子さんがいらっしゃる方、発達障害の子どもと関わる職業に就いている方は、ぜひ参考にしてください。


1.発達障害者支援法の改正

まずは、発達障害者支援法について分かりやすくまとめました。

1-1.発達障害者を社会的に支援する法律

発達障害者支援法は、発達障害者の社会的支援を目指した法律です。2005年にこの法律が施行されるまで、高機能自閉症やアスペルガー症候群、学習障害などは法律上「発達障害」と認められていませんでした。発達障害者支援法により、こうした知識障害を伴わない発達障害も「支援すべき対象」とされました。

1-2.認識が広がり改正が必要に

この10年余りで発達障害の認識はさらに広がり、発達障害者支援法の見直しが求められるようになりました。そして、抜け落ちている部分を補うために、2016年に改正されたのです。改正後の法律は、発達障害児の早期発見と、幼少期からの適切な発達支援を目指すものとなりました。

2.発達障害者支援法の内容について

発達障害支援法では、どのようなことが定められているのでしょうか。概要をまとめました。

2-1.目指すのは理解と支援の促進

発達障害者支援法が目指すのは、「発達障害への理解の促進」と「発達障害者に対する生活全般にわたる支援の促進」です。発達障害者への支援は医療や保健・福祉・教育・労働のすべての分野において行われる必要があるとし、都道府県市町村が責任を持って施行することが義務づけられています。詳細は厚生労働省のサイトを参照してください。

2-2.具体的に書かれていることは?

具体的にこの法律に書かれているのは、以下のようなことです。

  • 乳幼児健診や就学時健診における発達障害の早期発見
  • 特別支援教育体制の推進
  • 放課後児童健全育成事業の利用
  • 特性に応じた適切な就労機会の確保
  • 地域における、自立した生活の支援
  • 発達障害者の権利擁護
  • 専門的な医療機関の確保
  • 専門的知識を有する人材の確保

3.改正によって変わったこと

発達障害者支援法が改正され、どのようなことが変わったのでしょうか?

3-1.背景にあるのは発達障害者の増加

近年、発達障害と診断される人の数が増えていることが、発達障害者支援法改正の背景にあります。発達障害に対する認知度も飛躍的に広がり、以前の法律では不十分な部分が浮き彫りになってきたのです。発達障害者支援法の改正は、すべての発達障害者が支援や配慮を受けやすい環境にするために行われました。

3-2.教育面の改正点

発達障害者支援法の改正により、教育面では以下のようなことが盛り込まれました。

  • 発達障害の子どもがほかの子どもと一緒に教育を受けられるよう、学校側が計画を作成
  • いじめ防止対策
  • 福祉機関との連携

3-3.就労面の改正点

就労面では、働く機会の確保だけでなく、国や都道府県が職場への定着を支援するよう規定しています。また、事業主に対して、働く人の能力を適切に評価し、特性に応じた雇用管理をするよう求めました。

3-4.そのほかの改正点

そのほかにも、以下のような改正点があります。

  • 刑事事件などの取り調べや裁判で、意思疎通の手段を確保すること
  • 都道府県や政令指定都市に、関係機関による協議会を設置すること

4.発達障害者支援法の利点は?

発達障害者支援法の利点には、どのようなものがあるのでしょうか。この法律ができたことで得られたメリットには、以下のようなものがあります。

4-1.広く認知されるようになった

発達障害者支援法ができたことにより、発達障害が広く認知されるようになったのは間違いないでしょう。この法律ができる前までは、「発達障害という言葉を聞いたことがない」という人もたくさんいました。知的障害を伴わない場合は障害として認識されず、支援を受けることができなかったのです。この法律によって、支援の対象範囲が広がったこと、世間の発達障害に対する認識が高まったことは、大きな利点といえるのではないでしょうか。

4-2.適切な支援を受けやすくなった

この法律によって、発達障害者が適切な支援や配慮を受けやすい環境になったこともまた、確かでしょう。発達障害者が適応できないのは周囲の工夫や配慮が足りないためであり、社会の責任としてその問題を解決すべき、というのがこの法律の基本理念なのです。

5.発達障害者支援法の現状と問題点

発達障害者支援法には、まだ改善すべき問題点があるといわれています。具体的に見ていきましょう。

5-1.取り組みが進まない部分もある

発達障害者支援法には期限や罰則が定められていません。そのため、人材や財源の確保などが難しく、取り組みがなかなか進まない自治体も少なくないのが現状です。

5-2.自治体によって支援に差がある

自治体によって支援体制に差があることも、問題点の一つです。発達障害者支援法では、国や自治体、医療機関や教育現場には発達障害者を支援する責務があるとされています。しかし、統一した支援体制の確立は難しく、自治体による差は今後も大きくなってくる可能性はあるでしょう。

5-3.専門医が少ない

発達障害を診断できる専門医が少ない、という問題もあります。発達障害者支援法の対象になるためには、発達障害の診断が必要です。しかし、専門医が少ないことから、相談できずに悩んでいる発達障害者やその家族はまだまだ多いでしょう。

まとめ

いかがでしたか? 発達障害者支援法について詳しくまとめました。法律が改正されたことにより、多くの発達障害者が以前よりさらに支援や配慮を受けやすくなったのは事実でしょう。発達障害者支援法は、今後も世の中に広まっていくべき法律です。ぜひこの記事を参考にして、理解を深めてください。